タイの財閥について文献などをいろいろ調べています。
タイに住んでいると財閥特集よく目にします。島国の日本人としては、国を越えて活躍する華僑の商売センスやネットワークに憧れ?や特別な感情があるのか、日本の雑誌などでも時折「アジアの財閥」の大きな見出しを見つけるくらいのパワーワード!タイ在住の皆さんにとっては聞き飽きた感のあるトピックかもしれませんが、アウトプットによる学びの深堀りのため共有させてください。
今日ご紹介したいのはタイ最古の華僑財閥と言われるカシコン銀行!
街で見かける「緑のK」の銀行ですね。
3回に分けてお送り出来ればと思います。
(1)財閥の成り立ち
カシコン銀行の創業家はラムサム家です。
潮州系が主流のタイ華僑では少数派で、「アジアのユダヤ人」として知られる商売上手の客家出身です。ファミリーの歴史は100年を超えており、タイの資本主義の縮図と言ってもいいほど、近代発展の歩みと共に様々な産業に携わってきました。現在活躍しているのは5代目6代目で、世間の目は華僑というより「タイの名家」的なイメージが強いようです。
創始者であるウン・ラムサムは19世紀後半に中国広東省からタイへ渡ってきました。チーク材ビジネスで成功したのち、精米・コメ輸出事業に進出し、二代目ウン・ユックロンの時代に事業が大きくなりました。1920〜30年代には香港、上海、シンガポールに支店を持ち、ワンリー家と並びタイ最大のコメ財閥だったという記録があります。
1930年代後半になると、反華僑政権のもとコメ財閥は国の管理下に置かれたため、華僑は規制の少ない銀行・保険業に次々と進出しました。第二次対戦後もこの一連の動きは続いたため、バンコク銀行などの設立と時を同じくして1945年にラムサム家もカシコン銀行の設立に乗り出しました。三代目が早逝したため、四代目のバンチャーが跡を継ぎ、タイ初の生命保険会社であるムアンタイ生命保険も設立しました。
次回は(2)財閥の成長についてお送りします。