二代目・三代目が築いたタイ最大の財閥の地位。のちに急成長する財閥たちの発起人や筆頭株主になった財力を元に、四代目チョートの活躍で近代的な金融コングロマリットとして1990年代に最盛期を迎えたラムサム家。

さぁここで、タイ財閥のみならず、タイ全土が直面する危機が起こります。それはなんでしょう!

そうです。皆さんご存知1997年の「アジア通貨危機」ですね!
学生だったわたしは「お隣韓国が経済危機、自殺者増大?」みたいな報道に不安を覚えた印象がありますが、実際はタイから始まった通貨危機だったんです。

喉元過ぎてアジア通貨危機を忘れてしまった方向けに一言で説明すると、当時タイを始めとするアジアの多くの国はドルペッグ制を採用して輸出需要による経済成長を見込んでいたんですが、アメリカが景気回復しドルが強くなり続けたため、ペッグしているアジア通貨も上昇してしまい、輸出が伸び悩むことに。そこにアジア通貨の実態以上の過大評価に目をつけたヘッジファンドが大量に空売りを仕掛けたため、アジア各国は下落し続ける自国の通貨を買い支えることが出来ず。

当時バーツは最安1ドル56Bまで進んだんですね。通常レートは30B前後なので、倍近いって恐ろしい。。で、各財閥のドル建て債務が膨大に膨らんだ、と。

そんな恐ろしい事態もラムサム家は乗り切りました!
四代目が早い内に近代的経営に移行していたのが功を奏したのでしょう。当時はバブル下で金融機関が乱立していましたが、役員が一族のみの家族経営や融資基準含むガバナンスが甘かった銀行は軒並み国の管理下に入りました。

という訳で現在。
金融コングロマリットとしての事業は堅調で、銀行は国内資産規模4位。ファミリーの株主比率はAR上はほぼなくなっていますが、なにせ歴史が長いので様々な持株会社も抱えており、詳細までは追いきれません。ただ5代目のバントーンが「自分でラムサム家から出るCEOは最後」と発言しているインタビューを見たことがあり、実際に2020年からは初の創業家以外の女性のCEOが誕生しています。

最近では国内サッカーチーム・ポートFCの買収と会長を務めたヌアンパン・ラムサム女史がその美貌と共に有名で、一族が経済界のみならず政界、社交界で華やかな経歴と共に活躍しているんだと窺われます。

カシコン銀行は今回まで、次回の財閥は、少し金融から離れて皆さんの身近なアレにします!

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