妊娠したら、異様に日本が恋しくなる病

軽いつわりが1ヶ月ほど続き、治ったと思ったらここ数日はとっても日本が恋しい病気。タイのお正月(ソンクラン)が明けて日常生活が戻るなり、メニュー決めずにごぼうやレンコンを買い込み、この猛暑のなか番茶を沸かし、鍋を作ってポン酢で食べる末期症状。来タイ以来1年半、1度も口にしたことのなかった日本のお菓子(輸入につき高額)も大量購入しちゃったもんね。アルフォートと源氏パイ最高!もっと最高のお菓子も日本には存在してたはずだけど、目にしないので思い出せない。薄味が恋しくなっているのか?お吸い物とか味ついてるんだかついてないんだか分からないレベルの茶碗蒸しが食べたくて仕方ない。薄い色のお洋服も買いたいし、色が白くて薄い顔の人とおしゃべりしたい。「色はピンクで」と言ったら20色出てくるネイルサロンに戻りたい。ホルモンバランスの関係で(妊娠中はとかく何でもこのせい)母国が恋しくなるとかあるの?薄くなりたいとかあるの?

外国に住む日本人が「日本が恋しくなる」という時、何を恋しがっているのか?

わたしの意見「色」。ただ歩いていて目に入る色です。色が好きなわたしは、季節毎の花の色、草木の色、雲の色。街の色、周りを歩く人達の服の色。そういうものや肌に感じる空気に季節の移ろいを感じて「あぁ。春が名残惜しくも去っていく…」とかいう想いが恋しいみたい。タイ基本的にずっと夏だし日差しが強くて色の彩度が強くて。手持ちの服がどんどん派手になっていくのを止められない。あぁ秋の始まりにグレーと淡い水色のグラデーションで全身コーディネートとかしたいです。夏服ばっかり着続けて、自分の服のセンスに段々自信がなくなってきたわたし、次に日本に帰国したら、素材の組み合わせやら靴とパンツの丈のバランスやらに異様にうるさいオシャレ好きな実家の女達に、こぞって批判されるに違いない。

彼の意見「食」。繊細な盛り付け、好みピッタリの味付け、店員さんの気持ちのよい接客態度。日本とバンコクで離れて暮らしていた時、帰国の度に、東京おいしいものガイド、みたいな彼のサラリーマン時代のお気に入りの本を目を皿のようにして読み返し、久しぶりの手料理に腕を振るうわたしには目もくれず「ここ行きたいっ!これとこれも食べる!明日はここ!」と一生一度の覚悟ではるばる日本まで来た観光客の態で、必死にお店巡りしていたっけ。バンコクに日本料理屋さん多数あるとはいえ、クオリティは様々だもんね。

「日常生活の快適さ」。これはきっと全員がどこかで思うはず。日本の快適度って外国人からも高評価。10年前だけどブリトニースピアーズが来日した際「ウォシュレットの”音姫”機能に1番感動した。自分のトイレの音を他人に聞かせないようにするとは、なんて他人を思いやる国なの」って言っていて、あのトイレの個室下半分壁がないようながさつな国出身のあなたにもそういう感性ってあるの!?(失礼)と驚いた覚えが。タイに来たばかりの頃、異様に早いエレベーターに足を取られそうになる度、恵比寿とか空港にある日本の動く歩道は、人体工学的に速さを綿密に研究しているに違いないな(ただの想像)と恋しく想っていた。お菓子の個包装にいちいち良い紙使ってるとか、全ての袋物はハサミ使わなくても「ここから開けて下さい」って書いてある箇所を触ればすぐに開いたり(諸外国の袋物はギザギザ部分を力いっぱい引っ張っても開かない)。公共交通機関の時間の正確さ、とかタクシーの運転手さんが丁寧とか。もう数え上げればキリがないほど、日本にいると快適。いや。他の国にいると「何でそれ?」と突っ込みどころ満載。

元来旅行好きで、親の転勤で学生時代に10回以上引越ししてあちこち住んでいるので、ある一定の場所や人に対しての執着がない。ふるさとや懐かしの○○もあまりない。バンコクに1年半住んで、今まで特に日本を恋しがることもなかった。でもいま猛烈に恋しいニッポン!!無表情の国ニッポン、電車に乗ると全員ケータイの画面に釘付けのニッポン、昼間外を歩くとじじばば率が異様に高いニッポン。愛しています心から。

(画像元:www.tsubutsubu.tokyo

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