<読書メモ>ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい

事業家と起業家の違いの説明はうんうんとうなずける。ファイナンス×経験、モノの値段を考えること=会社の値段を決める、意思決定をするなど、わかりやすい論理展開がとても魅力的。

事業家としての能力とは具体的にはどのようなものなのでしょうか?様々な意見が出て来ると思いますが私はズバリファイナンスを熟知しその知識を駆使して事業を成功させていける力量が事業家としての力だと考えています。いやいや起業家だってファイナンスをわかっていないと資金調達はどうするんだという声もあるかもしれませんが起業家にはファイナンスを駆使する力よりもファイナンスをわかっている人を仲間に引き入れる力の方が大切です。理念を打ち出しそれに対して必要な能力を持った仲間たちを集めていく。それが起業家に求められる力です。

事業家のミッションは事業を成長させていくことです。実際に事業を行う時のリスクは何か、それに見合うリターンは何かを考えてどの事業をどのタイミングで立ち上げるのが最適化を緻密に計画し、ときには大胆に実行していく。それが事業家に必要とされる能力になってきます。それを使ってどうやって儲けられるんだ?ファイナンスの知識があれば会社の利益に貢献できるのか?具体的な活用策がなかなか見えてこないうちにその必要性がわからなくなり継続的に勉強するのをやめてしまうのです。

ファイナンスとは物の値段を考えること
ファイナンスとは一言で言うと物の値段を考えることです。先ほど、ファイナンスは教養だと言うお話をしました。教養といえば美術なんかも教養に入ります。美術品を見てこの美術品はこう言う点が素晴らしいとか、ここに工夫が凝らされていると言うことを論ずるのが教養としての美術だと思いますが、ファイナンスも実はこれと一緒なのです。商品でもサービスでもなんでもいいのですが、これにはいくらくらいの値段がつくはずだ。なぜならと物の値段を論じていくのがファイナンスの面白さなのです。
物の値段をつけるのは何も目に見えるものだけではありません。時間や自由など目に見えないものにも値段をつけて、それを議論するのが教養としてのファイナンスです・ニュースで見るM&Aなどの話も同じです。M&Aの本質は会社という目に見えないものに値段をつけ、買うべきか否かを判断することなのです。
私がここで言いたいのは投資銀行がどうこうという話ではなく、ファイナンスだけわかっていても、事業家としては大成しないということです。事業家として成功するにはファイナンスを用いて事業の本質を見極め、新たな利益を想像していく能力が必要なのです。そしてそのような能力は数式だけエクセルで追いかけていても身につくものではありません。ビジネスの当事者となり、ファイナンス×事業の本気のぶつかり稽古を行なって初めて身につくことができるものなのです。

むしろ世の中に錬金術などというものは存在せず、お金というものにロジカルにきちんと向き合っていけることになることがファイナンスを学ぶ意義なのです。そして、その考え方を生かして初めてファイナンスを学んだ異議が出てくるのです。もちろんお金を稼ぐ、あるいは事業を行なって利益を出すにはファイナンスの知識は必ず必要になってきます・。先述のソフトバンクアカデミアの話に戻りますが、社長室在籍で、実際にアカデミアのランキングで首位にいた方はファンドマネージャーの資質がない人は、ソフトバンクの後継者には100%慣れないと断言しています。

M&Aが増加傾向にあるのはもちろん日本だけではありません・。欧米では実に8割もの上場企業がM&Aによって新たな事業領域へ進出することを考えています。グローバル企業のトッププレーヤーはかなり戦略的にM&Aを活用しており、正直なところ、日本の企業は全体的に見て、M&Aを経営戦略にしっかりと活用している企業はまだまだ少ないのです。日本企業は海外企業と異なり、案件が自社に持ち込まれるまで待ってしまう待ち型の企業が多いように思います。
会社経営の仕事はM&Aであるとまで思っています。みなさんが事業家として企業のトップに求められている技術の最終形はM&Aを行うためのファイナンスの技術です

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