おんな2人で親になる準備
前回からの続き。おんな2人暮らしの日々①
ある日妊娠に気がつく。前月の彼との香港旅行で妊娠した様子。彼女は自分のことのように喜んでくれ、その日から父親役に。日々2人でお腹のこどもに話しかけたり、電車で「席空いてるよ。座って」と気を配ってくれたり、ゴミ出しや脚立にのぼる電球交換は全て買って出てくれたり、申し分のない父親ぷり。初めの胎動はキングサイズのベッド(結婚当初彼と使っていた)に2人並んで寝ようとしてた時「!?いま赤ちゃんが動いた!ここ触って!」「あ。ほんとだスゴイ~」何この展開。
「こんなにつぶさに妊婦生活を見せて貰えるなんて、将来産む時の参考になる~」と言う彼女。普通妊婦って結婚相手と暮らしてるもんね。同じマンションの住人には「新婚で入居してきたけど、旦那に逃げられたショックでレズビアンに転向して、体外受精に成功した妊婦」だと思われていたに違いない。住んでいたのは日本で初めて同性婚を認めた渋谷区だったし。楽しいことづくめのおんな2人同居生活、わたしがバンコクに引っ越すにあたって終わりを告げた時は泣くくらい淋しかった。
楽しい性差の壁との再会
バンコクで彼とのラブラブ新婚生活の続きは、わずか1ヶ月で出産により強制終了。産後2泊3日で退院し、自宅に戻っての産褥生活初日、お昼前に枕元に立った彼に「オレいまから外出。お昼は外で食べてくるね」と言われ「え!わ、わたしのごはんは..」(人が1人身体から出てきました。いま人生最大弱ってます。出血してます。栄養あるもの食べないと)と尋ねたら「え?何か食べるの?」とキョトン顔で返された時の悲しさったら。。。泣き出したわたしに、文字通り床から飛び上がって驚きどこかへ消えた彼は数分後、妊娠中限定で好きだったテラテラに油滴る唐揚げと、劇的にスパイシーなガパオライスを両手に持って「これちーちゃんの好きなやつ。屋台で買ってきたよ!」とどや顔。(乳腺が詰まるのでお粥を下さい…)
相手が毎月生理を経験している子どもを産む性だったら、こんな珍プレーは起こり得ないんだろうと考えると、同性同士のカップルって、性差がもたらすストレスを初めからクリアしている訳で。きっと男女の恋愛より、崇高な魂同士の結びつきが出来るのでは?と想像してみる。相手の内面に対して深く理解ができて、自分と同じ身体や感性を持った生物としてより親身に感じられるのかしら?うーん。ゲイの友達がノンケの男性を俗物、みたいな目で見てた気持ち、ちょっぴり理解できる気が。
この先の時代、ヘテロセクシャルでも仕事と恋愛は外でして、生活と子育ては同性同士のコミュニティでする、というグループが出来てもおかしくないかも。同性同士の方が生活自体はスムーズに進む気がする。なんかエコな気がするし。田舎におばあさん同士で暮らすコミュニティってありますよね。男性の寿命が短いので必然的にそうなっているだけかもしれないけど、おんな同士が複数で暮らすと何かと便利なんです。作りすぎた料理とか。使いきれないマニキュアとか?
以前男性同士で暮らしてるお友達の家に遊びに行ったら、カーテン引きっぱなし布団引きっぱなし麻雀出しっぱなし。洗濯物はその辺に平置きして乾かしていて。同居人がちゃぶ台を組み立てて大量の肉野菜炒めや大盛りのごはんを出してもてなしてくれ、ふむ、この世界はこれで居心地良く完成している…と思ったっけ。わたしは性差の壁が楽しくてやめられないけど、将来また経験してもいいかもしれない?おんな同士の暮らし。恋愛相手に生活観を見せないことで、恋が長続きするという効能もあるかもしれない。
(画像元:laurelholloman-tibette-fan.doorblog.jp)