友人にオススメされた人、戸堂康之先生の日本経済の底力という本を読んで、グローバル化とはなんぞや、そして、そこから得られる効果としてどのようなことがあるのかというのをデータを見ながら考えています。

三人寄れば文殊の知恵
グローバル化によって海外から技術やアイデアを学ぶという戦略はすでに十分に発展した日本には不要だという議論があるがそれは誤りだ。この戦略の意味は海外から技術を一方的に学べということではなく、国内だけで考えても出てくるアイデアには限度があるということ、また、海外の多様なアイデアも取り入れた方が良いということである。その過程で逆に外国も日本から学ぶことが大いにあるだろう。いわば三人(国)寄れば文殊の知恵。お互いにアイデアを学び合ってWINWINで成長していきましょうというわけだ。
臥龍企業
非グローバル企業の中でも平均的なグローバル企業よりも生産性が高い企業がたくさんある。私はこのような企業を臥龍企業と呼んでいる。臥龍とは、三国志の時代に劉備玄徳に使える前に在野にあった諸葛孔明をさして呼んだあだ名である。つまり臥龍とは実力はあるがまだ飛躍できていないという意味だ。臥龍企業は大企業にも中小企業にもたくさんある。
なぜか?考えられ一つの理由は情報不足である。臥龍企業は生産に関する知識は深くても海外市場の需要、輸出や海外直接投資の手続き、海外でのリスクに関する情報には疎いのかもしれない。私が見聞きした新潟県燕市のとある金属加工業のA者の話を紹介しよう。A社は最先端の金属加工技術を持っていたが、1990年ごろまで国内市場に留まっていた。しかしある時韓国企業がその高い技術を嗅ぎつけてやってきて、そこから輸出が始まった。今では製品の75%を全世界に輸出して大きな成長を遂げている。この企業の場合には、韓国企業が向こうからやってきてくれたことでグローバル化した。しかし、技術がありながらも海外進出するすべを知らぬまま、外国企業に見出されれる幸運にも恵まれない臥龍企業が日本中にいるのではないかと思う。
そもそも従業員の少ない中小企業の場合には、いくら技術力が高くて国際競争力があったとしても、輸出の手続きや海外市場の情報を得るために人を割くことができない。こういう企業はグローバル化できずに臥龍化してしまう。もう一つ考えられるのは企業のリスク感覚である。リスクを取りたがらない企業は、生産性が高くても海外進出に思い切れない。実際、中小企業を対象にした私自身の研究では、経営者のリスク感覚が企業のグローバル化の意思決定に非常に強い影響を及ぼしていることが明らかになっている。
グローバル化を阻むこれらの要因を取り除いてやれば潜在的な競争力がある臥龍企業は海外進出できるに違いない。そうなれば、その企業は世界の知恵を取り込むことでさらに生産性を伸ばして発展していくであろう。そのような好循環が日本の復興を超えた飛躍的成長のための起爆剤となるであろう。そのためにはグローバル化を後押しする政策が必要だ。例えば、企業に海外市場に関する情報を提供したり、海外市場への障壁を取り除くことで臥龍企業はグローバル化できる。無論これらの政策は臥龍企業だけでなうすでにグローバル化した企業のさらなるグローバル化も助ける
2011年の本です。東日本大震災の後に書かれたようです。その後、グローバル化は進んだか?直近2017年のJETROの情報で同じようなアンケートを取っているのですが、進出は情報不足からできない。などという記載があるので変化はあまりないと思います。
戸堂先生の直近の論文を見ると、つながりが重要。つながりもグローバル化すべきと記載されていますが、より具体的に考えると、海外企業と情報交換、交流があると経済がより活性化するという思考。
現地の肌感でもデータと整合性は取れていると思います。
(世界の企業と十分に繋がれていないことが示された)、(日本企業は特に海外企業というよそ者との繋がりにかけ、それが日本経済の停滞の要因の一因となっている可能性がある)、(グローバル企業に投資することで直接的な利益だけではなく多くの知識や情報も日本に流入するはずだ)
私のコメント・問題意識
日本は純血主義、日本垂直統合という形で成り立ってきた。これは主に製造業、車産業を意味している。
タイでも一緒で日系企業で工業団地ができている。正直、製造業は品質管理という意味、車という製造物を含めると日本人としての気質含めてこの形でもいいと思っている。
ただ、この純血主義は、サービス業その他の産業だと話が別。現地とアライアンスを組まないと本来できないような業種に関しても、製造業の成功を踏襲した自社主義、100%日本、日本式でやるようにする傾向がある。それが日本の大きな問題点であり、産業構造が製造業からサービス業に変化している今、海外との関係性、取り組み方を考えなくてはいけない問題だと思っている。M&Aに触れている記載もあったけど(論文に)、実際に私は現場の最前線でその話を相談されたり、一緒に交渉に行ったりするけど、もう全然うまくできていない、アライアンスの組み方、提案、日本の意思決定の仕方。そういう意味では、今後それ(それというのは弱い繋がり、グローバル企業のその他の国と組んだりすること)は日本にとって必須のことであるし、苦手でもあるし、やばい部分だと思う。考え方と、そして語学力の2つの観点から見ても。
現場、市場の情報が日本には少なすぎる。その要因は、それを現地の生を知っていて(ここポイント)適切に提供する人が少ない。ということなのかなと。
なので今年は情報提供と発信。
何より生で会って日本でそれを伝えることを重要視していきたいと思います。
そんな日本での滞在での気づき。15日にタイ帰ります。
Pocket