村田紗耶香さんの小説が好きで、自分らしく世界にはめ込まれないで『生きる』を考えさせられます

今を生きる、常識・非常識、自分とは何かを私は強く感じる小説家です。生きる!自分らしく!というのを独自の切り口から感じる。

知り合いの人からすすめられて結構前に読んだ『消滅世界』。家族とは恋人とは、人間に恋するのとキャラクターに恋をするの、何が違うのか?不倫を過剰にたたいたりする世の中、推し活、アニメなど自分とは異なる世界の住人に恋をする人たち、それらすべてが肯定される世界だったら。

現代のなんとなくみなが共有しているもの、タブーを完全常識にした場合にはどんな世界になるのかというのを非常に考えさせられる小説でした。特に子供とは家族とは、そもそもsexとはということも考えさせられるもの。

村田さんの世界観では男女、性、sexというものの定義、当たり前の家族活動、同調圧力への批判、そして常識と非常識という物差しへの強いアンチテーゼを感じて非常に共感できて好きです。その他の作品もいろいろ読んでますが、まだコンプリートしてません、合わないもの、理解できないものもありましたが好きだった作品は以下

『殺人出産』では人を殺すことは悪なのか?殺したい人がいるのは変なのか?そんな当たり前の疑問に対してなげかけているような作品だった。また女性が子供を産むことを強制されたり国家として推奨することがいかにその人を痛めるのか、それに対する報いがどのようなものがあるのか、そんなことへの疑問を投げかけるようなものだったと思う。またトリプルという作品では、3人での恋愛という特殊環境、性行為への疑問というものも書かれていた。全般として性への嫌悪、性への疑問、性を主体として人間関係への提言というようなものを感じる。

『生命式』では

死んだ人を食べて供養するということが常識な世界での話、人間の骨、皮を使って家具やファッションを創ることが常識な世界での話、常識とはなにか、非常識とはなにか、を問うてくる作品だと感じた。

日本でも常識は異なる、世界はもっと異なるそれについて訴えているように感じた。これを読むとアインシュタインの『常識とは18歳までに集めた偏見のコレクションである』という言葉をいつも思い出す

『信仰』では

信仰のカルト宗教のおろかさ、だけども作られたものにすがりたい気持ち

生存という、現在のエリート主義、血統を数字化して皮肉った表現。
カルチャーショックという、ユニークさを皮肉った表現の作品など、そこかしこに非常識さをちりばめて、現代の画一性、同調を皮肉った記載が好きだった。

『コンビニ人間』では

社会においてどうしていいかわからない女性がコンビニ店員という役割を得ることで社会的になれるとうような描写の本だったが、私は仕事という枠に人間があてはめられて、それを無理やりやらされている日本社会の仕事至上主義へのアンチテーゼなのではないかと強く感じた。

何をしたらいいのかわからないからわかるのではなく、自分がしたいことはなにもできず、ただ社会の規範に沿ったことをやることだけが求められるそのような世界はいやだというような感想だった。それはまさに自分がそうだからかもしれない。そのような同調圧力を独特な形で表現していると感じた

久々に読書メモを書くきっかけになった作者の方。

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